初代「カンターレ・オカリナ」 響きへのリスペクト [オカリナ雑感&How-to]

『響き系』オカリナの代表的な工房はやはり老舗の『カンターレ 平本さん』でしょう。このオカリナは2代目になってから、かなり吹きやすくなりました。初代が製作されたオカリナ(特にAC管)は、高音部のミ・ファが極めて出しづらいオカリナと評されていました。この点を克服するには「左脇に引きつけ、やや斜め(写真)」というのがカンターレさんからも公式にメッセージされています。
7A461C73-75F1-4F41-B5A9-661755D7794B.png
ただ、この手法はテクニカル的にも初心者には厳しいでしょう。初代のカンターレはこのテクニカルな部分を演奏者に強いる代わりにクリアな響きを得ているわけです。高音部を出しやすくするとその代償として『響きを失わせ、音色や表現を平坦化」してしまう。そのバランスに製作者は苦労されていると思われます。ただ、この点に関して某販売サイトとかは「高音部が掠れる」の一言で片付けてしまいがちですが、そこには製作者の意図が必ずや織り込まれているはずです。なので、初期カンターレ、小川系、火山系(ピエタ除く)は、必ず「テクニカルな儀式」が必要になってくるわけです。ある意味『響き系』の特徴でしょう。その点、『吟オカリナ』は絶妙なバランスで吹きやすさと響きのバランスを保っています。近年、多くの工房系オカリナが出ては来ましたが(密かに6工房のACを入手しチェック)、個人的にピンときた個体はありませんでした。いずれも吹きやすく、安定感はあります。ただ、『響き』に感動を覚えないのです。これはあくまでも僕の感性とのマッチングであり、その他の工房オカリナの価値を否定するものではありません。オカリナも年々進化し、演奏者が扱いやすく、安定感も増しています。
979ADD8E-C723-460F-BCD0-F87042D8A335.jpeg
それでも10年ほど前の初代カンターレの響きに魅せられてしまう。オカリナって本当に奥が深いです。

コメント(0) 
ルミガン
ラシックス