初代「カンターレ・オカリナ」 響きへのリスペクト [オカリナ雑感&How-to]
『響き系』オカリナの代表的な工房はやはり老舗の『カンターレ 平本さん』でしょう。このオカリナは2代目になってから、かなり吹きやすくなりました。初代が製作されたオカリナ(特にAC管)は、高音部のミ・ファが極めて出しづらいオカリナと評されていました。この点を克服するには「左脇に引きつけ、やや斜め(写真)」というのがカンターレさんからも公式にメッセージされています。
ただ、この手法はテクニカル的にも初心者には厳しいでしょう。初代のカンターレはこのテクニカルな部分を演奏者に強いる代わりにクリアな響きを得ているわけです。高音部を出しやすくするとその代償として『響きを失わせ、音色や表現を平坦化」してしまう。そのバランスに製作者は苦労されていると思われます。ただ、この点に関して某販売サイトとかは「高音部が掠れる」の一言で片付けてしまいがちですが、そこには製作者の意図が必ずや織り込まれているはずです。なので、初期カンターレ、小川系、火山系(ピエタ除く)は、必ず「テクニカルな儀式」が必要になってくるわけです。ある意味『響き系』の特徴でしょう。その点、『吟オカリナ』は絶妙なバランスで吹きやすさと響きのバランスを保っています。近年、多くの工房系オカリナが出ては来ましたが(密かに6工房のACを入手しチェック)、個人的にピンときた個体はありませんでした。いずれも吹きやすく、安定感はあります。ただ、『響き』に感動を覚えないのです。これはあくまでも僕の感性とのマッチングであり、その他の工房オカリナの価値を否定するものではありません。オカリナも年々進化し、演奏者が扱いやすく、安定感も増しています。
それでも10年ほど前の初代カンターレの響きに魅せられてしまう。オカリナって本当に奥が深いです。
2021-01-31 23:55
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名古屋さんのモニター用オカリナに思う [オカリナ雑感&How-to]
久しぶりの投稿になります(-。-;。今回は「名古屋オカリナ」さん(以下、名古屋さん)が製作されたモニター用オカリナ、2本へのコメントをしたいと思います。
名古屋さんはオカリナに対する探究心が非常に強く、様々なオカリナを実際に入手され、自ら演奏+体感&吟味されています。そこから蓄積された「知見」を反映しての作品造りがベースなのでしょう。
2本の個体の作り込みを観察すると、どこかの工房で見た、または似ている部分(ここではあえて述べません)が散見されました。「良いとこ取り」というのは全然ありです!
さて、肝心の吹奏感と音色ですが・・先ずは「ピンク系」、これは最新の白いタイプとは異なる趣きがありました。
2本に共通するのはやや重厚で和的な響きです。息はしっかりと入れてあげた方が良いですが「裏息(久しぶりのワード)」を駆使すればより芳醇な響きを得ることが出来ます。こちらの作品は歌口が「かまぼこタイプ」であり、高音部をクリアに出すには胸に引きつけるか、裏息が必要となります。ここは高音部をもう少し出し易くしつつも響きを失わないギリギリのバランスを突き詰めて頂きたいなと思いました。演奏はやや難易度が高く、何も考えずに雑な息遣いでは良い響きは得られません。僕はこういった『歯応えのある』タイプのオカリナの方が好きではあります。
さて、もう一本の新しい「白い」タイプ!
この個体はなかなかの万能型。息遣いに追従して響きが拡散していく気持ち良さがあります。高音部も普通の姿勢で十分クリアに出てくれますよ(^^)。(でも裏息の方が好ましい)ベースの部分で大きな欠点というか気になる点は全く感じられませんでした。間違いなく「安定感+響き系」の良作品です!あとは「名古屋オリジナル→名古屋テイスト」をいかに出していくかでしょう。数少ない「響き系」オカリナの系譜を追求して頂き、名古屋さんにしか出せない「音色と響き」がいつか確立されることを心から願います。
そして、今回モニターとして貴重な2本をお借り出来た事を感謝します。