吟友工房の『アルジェント』モデル 計り知れぬポテンシャルと唯一性 [工房系オカリナ]
新年明けましておめでとうございます!
久し振りのブログ投稿となります
待ちに待った『ともちさん』のアルジェントモデルが到着してから・・1ヶ月以上経ってしまった
仕事に忙殺されてしまってレビューが遅くなってしまったことをお詫びします
さて、ともさんの「吟オカリナ」はこのアルジェントモデルで4本目(全てAC管)となる
僕も過去ブログに何度かアップしてきたが、現存のオカリナ作品に於いて『先進性と安定性+オリジナル性(+コスパ)』の観点から、既にトップクラスである(図抜けている)
近年の料理界や職人の世界は『弟子入りして何年も修行し、やっと独立』的な古典的師弟関係スタイルが良い意味で崩れつつある
ともちさんは決してオカリナ制作歴が長いわけではない
センス+探究心、努力によって「これだけの素晴らしい作品」を短期間でこの世にプロダクトできる才能は素晴らしい!
ある意味、オカリナ界の常識を覆す、近代的スタイルと言えよう
前置きが長くなってしまったが・・
このアルジェントモデル、万人向けのバランサーオカリナとは対極にある、『振り切った』オカリナであることを最初に言っておく
このオカリナは間違いなく『人を選ぶ』
僕のイメージだが、近い+比較すべき作品(AC管)は①亜音プレリュード、②ティアーモ・黒陶ソロモデル(大沢選定)<廃番>、③ヨシツカ、④子雷フォルテ・・となる
ある意味、パワー&ソロ系に分類されるわけだが、単にボリュームと音の前進力を稼ぐだけの作品ではない
特徴的なのはとてつもなく『分厚い内面』だ
一般的なAC管内面の5倍?以上の肉厚感覚である
全体サイズもカナリ大きいのだが、瓦焼き焼成のため「想像以上に軽い」
そうは言っても『ティアーモ・黒陶モデル』より、100グラムほど重い(アルジェントは約400グラム)
さて、この内面の驚愕的厚みは、ストレートに深い響きへと変換されていく
『肉厚+大きさ+焼成の質』が豊かな倍音を生み、味わい深くかつパワフルな音色を押し出していくのだ
息圧と息量は感覚的には『ティアーモ・黒陶ソロ』と『子雷フォルテ』の中間だろうか
当然だが中途半端な息圧では、このアルジェントは『鳴ってくれない』し、とても味気ないない音色になってしまう
さて、その響きの質であるが・・音に明確な芯が存在するが意外にも『すっきり+キレイめ』系だ
少なくとも『和的』ではない
音の濃密さは『亜音プレリュード』と同等であり、アルジェントの方がやや音色が明るめである
響きの感覚(倍音を強く感じられる)は、アルジェントも十分スゴイのだが『ヨシツカ』が突き抜け過ぎか?
パワー系+安定系オカリナは一般的に「表現力が乏しい」とされているが、アルジェントはしっかりと息圧をかけての『豊かな表現力+コントロール性』を見事に両立している
さて、烏滸がましいがいきなりの総合的評価である
この管の価値は「安定した強い息圧+技術力」ないと引き出すことが出来ない
そういった意味ではフルートやトランペット等の管楽器経験者が有利ではある
しかし、単なるパワー系の息を吹き込むだけでは「響き」をこれまた引き出せない
つまり、腹の底から強烈な「裏息」を安定的に送りこむ必要があるのだ
それが可能であれば(奏者として)、この世で唯一の「パワーと響き、そして表現力」を両立したオカリナとなる
具体的なイメージで現すと、亜音プレリュードと子雷フォルテのいいとこ取り、というか両オカリナの持ちうる特性がブラッシュアップ+融合された最強モデルということである
誰にでも薦められるオカリナではない
この計り知れぬポテンシャルを持った孤高の存在・・『アルジェント』
あなた次第では『オカリナのストラディバリウス』へと昇華させることが出来る・・かもしれない
僕はそうしたい!!
そしてこの作品に出会えたこと・・感謝しかない