「小川系オカリナ」AC感を比較して <やっぱ孤高にしてイノセント> [工房系オカリナ]

「小川式メソッド」を提唱されている、小川氏のオカリナって孤高の存在
・・・ダケド

実は小川氏にはそのメソッドを受け継ぐ弟子がおり、その流れを汲んだ
オカリナが存在するんですね。

そんな「小川派」のお二人は・・・

★白鳥さん(ファゴット奏者→オカリナ)→白鳥オカリナ
 ※AC管:39,200円

★軽部さん(フルート奏者→オカリナ)→律(リツ)オカリナ
 ※AC管:15,000円(ハイグレード:30,000円)

<ちなみに本家・小川オカリナのAC管:20,000円>

今回は本家と軽部さんの「律」オカリナをちょこっと比較してみたいと
思ってます。

写真1.jpg

一見、瓜二つ(当たり前)のオカリナですが・・・細かく見ていくとケッコウな
違いに気づきます。(上:「小川」、下:「律」)

本家(写真:上)は左手側の「球体」度が高いですねー(まさにガチョウっぽい)

写真2.jpg

とても個性豊かな形状ですし、右手側のトーンホール周りの造りも
特徴的です。(この握り心地はかなり特殊・・・(-ω-)ウーン)

また、小川式持ち方(運指)を実践するために、全長も短め

なので、「宗次郎構え」にはめちゃ不向き

まぁ~一言で言うと・・・「とても癖の強い」オカリナ

総合難易度もかな~り高いです。


ええーー、ここで、一応確認しときますね!

小川系は完全な「裏息~響き系」オカリナです。

表息でのラフなアプローチはモチ御法度

日頃、「アケタ」なんかをバンバン吹き込んでいる方は、ぜんぜん音、
出てくれませーん(高音部は特に)

とにかく癖が強く、全く初心者向きでは無い「本家:小川オカリナ」ですが・・・

「律」オカリナは、いろんな意味で、本家の「癖」が中和されており
「吹きやすい=オーソドックスな」特性が与えられていると思います。

まず、ピッチを合わすのに必要な息量は本家より20%減ぐらいカナ

歌口を見て頂くと分かるでしょう!

写真5.jpg

「律」オカリナは「カマボコ」、本家は「まんまるに近い」

周囲の造り込み、壁の高さも違うよね

★「律」オカリナ
写真4.jpg

★小川オカリナ
写真3.jpg

本家は常に裏息を意識して「丁寧かつ精密(安定的)に注ぎこむ!」←この
ニュアンス分かるかな~

そして、高音部にかけてしっかり息スピードを上げて(腹圧を意識して)いか
なくてはいけません

特に高音部「レ・ミ・ファ」から息圧の許容ゾーンがメチャ狭いため、破綻
するかしないかのギリ線を裏息で模索する必要があります。

ちょっとでも許容ゾーンを越えるもんならすぐに破綻しちゃう。

思い切って、ググッと胸に引きつけてしまえば、やや不安定な裏息でも、
なんとか高音部を支えてくれるけど・・・(僕は真っ直ぐ構えでOK)

本家はとにかく、息質に対してチョー「センシティブ」

その点「律」は、息質に対する許容が本家と比べるとカナリ広めというか
おおらかなので・・・

とりあえず「温かく&優しい息」を入れとけばピッチコントロールはOK

平坦な息スピードでもまあ、なんとかなる。(本家のようにしっかり
息スピードをあげていかなくてもピッチが合うので女性、高齢者にも向く

裏息が前提だが・・・

胸に引きつけ、息圧をけて高音部をアプローチすれば、なかなかの力強い
響きを拡散してくれる・・・。

音色に関しては・・・

小川系は基本的にやわらかでクリア(響き系の中では特徴が薄い)なんだけど・・・

「本家」はしっかりと音色に「芯」があり重厚感 + 拡散力がある
ソロ、合奏どちらもいける万能タイプ

「律」は、さっぱりめの音色だけど丸みがあり、とにかくやわらかい響き
僕的には「自分を癒す」タイプ

小川メソッドに沿った演奏をするのであれば、断然「本家」の方が
表現力、拡散力共に長けてます。

しかし、「律」の方はオカリナ歴が浅い人でも、「裏息、響き系」の
感覚が掴み切れていない方でも・・・

そこそこ「感情表現」してくれる懐の深さがあるのです。

響き系の特性を気軽に味合わせてくれる・・・。

ただ、オカリナ行脚をし倒している方にはややもすると・・・
「味けないオカリナ」と感じてしまうかもしれません。

カンターレなんかと比べると、確かに際立った特徴は無いから

しかし、この「律」は<プレーン>であることが、いかに大切か・・・、
魅力的であるか・・・ということに気づかせてくれる

そんな、(僕にとっては貴重な)オカリナなんです。

素朴だとか、簡素というニュアンスとは違うんだな

この意味は・・・「味わって」みないと分からないと思う

小川系はいずれも、難易度は高いけど・・・
(誰にでも勧められるオカリナじゃーありません。)

孤高にしてイノセントな響きを味わうことができる・・・。

僕は好きだなー(結論)

コメント(1) 
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コメント 1

Suimin

小川オカリーナを学んでいる者ですが、こちらの記事を仲間にシェアしましたら、その深い洞察力に皆さん感嘆していました。

ちなみにですが、以前は「お」印だけだったのが、改良されたあとの楽器には「お」+「けん」の印があります。また、石膏型もいくつかあるようで、より丸みが大きいタイプとそれほどでもないタイプ、歌口も丸と「かまぼこ」、両方見たことがあります。基本的な奏法は同じですが、一本一本、特性・味わいが違う、と思っております。
by Suimin (2021-02-11 12:13) 

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