火山系オカリナの停滞に思う [工房系オカリナ]

僕がオカリナという楽器に出会ってから15年ほど経つが、工房系のオカリナは凄まじく進化を遂げたと思っている

構造的な問題で音が出ない個体は今は殆ど無いと言って良いだろう


多くの工房は「吹きやすさと、音色&響きのバランス」を上手くとっていると思う


また、新興の工房は後発なりの深い研究が為されており、先進的でグッドバランスなオカリナをプロダクトしてくれている


そういった意味ではオカリナの未来は決して暗いものでは無い


安定感があり、老若男女が吹きやすいオカリナは間違いなく増えてきた


僕が憂慮しているのは、オカリナの歴史を作り上げてきた火山直系工房とアケタの停滞である


「オカリナの原点を踏襲」するという使命とプライドが進化することを拒んでしまったのかも知れない


「オカリナ本来の音色と響きを守る」という行為は、時代の変化とは逆行することでもある


結果的に「難解なオカリナ、吹きにくいオカリナ」というレッテルが貼られてしまっている


残念ながら「火山系オカリナ」の「響きの特性」をしっかりと引き出して演奏できる方が激減してしまっている状況だ


また「火山系オカリナ」をメインで演奏するプレーヤーは無いに等しい


確かに「火山系」は初心者では操るのが難しい


それでも個人的には、いやオカリナ界として「守らなければならない音色と響き」なのだ


オカリナファンが「古くて新しいオカリナの価値観」に気づいて頂けることを願っている

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オカリーナ工房『土音』の真っ直ぐな歩み [工房系オカリナ]

火山氏の直系オカリナといえば、今ではピエタ(丸山氏)のみである。

直系ではないが、火山オマージュ系のオカリナもそこそこ存在はする。

その中でも比較的新しい工房ではあるが、洋介氏のオカリーナ工房「土音」は注目に値する。
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オカリナファンには既に知られた存在だとは思うが、土音オカリナは火山系(宗次郎氏からも学ばれている)のテイストを踏襲ながら常に進化し続けている。

もちろんオカリナ自体の進化もあるのだが、新しい工房の運営スタイルもオカリナ界に一石を投じているように思える。

クラウドファンディングの手法しかり、マーケティング戦略要素を強く感じるのだ。

ビジネスマンとしての経験値と音楽活動で得られた知見がうまく重なりあっていると思う。

料理の世界もそうだが、何年もの下積みをして・・みたいなオールドスタイルが崩壊し始め、経験値では無い感性ベースのアウトプットが評価を得ていたりする。

歴史や伝統も確かに素晴らしいが、それにあぐらをかきはじめたら・・衰退のみだ。

歴史はまだ浅くとも探究心と弛まぬ努力、感性があれば、オマージュ作品は確実に本家超えしていくことだろう。

クレイトン(土音)オカリナは間違いなく、その道を真っ直ぐに歩まれていると思われる。

山野楽器のオカリナフェアで、その進化を体感して欲しい。

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『松本寿和』師匠(無有オカリナ)の思い出(1) [工房系オカリナ]

『松本寿和』師匠(と呼ばせて頂きます)が旅立たれて1年半ほど経つのでしょうか

『寿和』師匠は言わずもがな、火山先生の3弟子(師匠、谷さん、野村さん「宗次郎」)の1人であり、1番弟子でもありました

師匠の旅立ちのショックと後悔で、僕はオカリナを見ること、触る事さえしばらく出来ませんでした

今、ようやく師匠との思い出を語れる・・そんなタイミングなんですね

僕と『寿和』師匠との出会いは9~10年ほど前になります

元々僕は無有(ヒーリング)オカリナのファンであり、ある方のご紹介で群馬県太田市の工房にお邪魔した事がきっかけでした
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その時、師匠はわざわざ車で僕を迎えに来てくれて、なんか嬉しかったな~

無有工房は駅から車で10分ほどのところにあり、その仕事場は、なんか温かみがあって、そして知的な空間でした
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『寿和』師匠はオカリナ界では異色の経歴で、大学を出てNHK(技術系)に入局されてます

安定したサラリーマン生活を投げ打って、火山先生に師事されたわけです

僕はたまたま民放テレビ局の出身で、父親もNHKの報道記者だった事もあり

『寿和』師匠とは、テレビ局時代の話しで大いに盛り上がりました

そんな背景もあり、僕に親近感持ってくれたのかも知れません

いつのまにか月に2〜3回は『寿和』師匠の工房を訪ね、レッスンを含め、様々なオカリナの知識、火山先生との修行時代、業界の変遷等の深いお話しを聞く関係性を持たせて頂けたのです

ところで・・僕は根っからのビジネスマン

感情的なタイプの人よりも、クールで理論的な人の方が相性が良かったりします

しかし『寿和』師匠は決してクール一点張りでは無く、人間的な温かみのある方で、一言で言うと『面倒見の良い、心優しい人』でした

でも、言葉は知的かつ理論的
(そういった意味ではオカリナ界では孤高の存在でした)

この方だったら師事したい! 
その思いが日に日に強くなり・・

そして、その思いを伝える日が遂に来たのです

師匠はその言葉をあっさり受け止めてくれて『じゃあ、オカリナ製作の基本から焼成までの一連の流れを一から経験してみよう!』とニコッと笑いながら言ってくれたのです
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その時は、本当に嬉しかった!!

でも・・、その後、結果的に苦しい葛藤の日々が・・

続きは、また次の機会に!

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『安定』と『響き+表現』比率でのオカリナ分類 [オカリナ雑感&How-to]

『安定重視』と『響き+表現』の2軸で、オカリナの特性を簡単にまとめさせて頂いた(AC管で検証)

『安定』:『響き+表現』→5:5のように表記する

『安定』は亜音系を指し、『響き』は火山系を指す

『響き+表現』の割合が高いと「裏息の駆使率」も高くなり、比例して演奏の難易度も高くなるが、より「唄う(感情表現)」ことが可能となる

『安定』の割合が高いと、息質を意識する事なく安定的演奏が可能となるが、感情の表現は難しくなる(無機質的、味気ない音質)

その比率に正解はないが、ユーザーの求めるものにより、見定める必要がある

メーカーや販売店では今回の2軸表現はタブーとなるため、僕がシビアに記させて頂いた
※方向性が定まっていない、不安定、構造がラフなオカリナは省いています

先ずは『安定系』に属するオカリナ
※安定比割合が10〜7まで
※歌口が涙型、三角が特徴、(一部、楕円やカマボコ型もあり)

・亜音 スタンダード → 9:1
・ナイトbyノーブル→ 9:1
・アウロス→ 9:1
・ルバート →9:1
・アケタ RS-5C → 8:2
・サクラ工房 → 8:2
・オオサワ(単管)→8:2
・フォーカリンク→8:2
・ティアーモ(ソロ、合奏)→ 8:2
・亜音エル → 8:2
・子雷 → 7:3
・木村 → 7:3
・縄文→ 7:3
・TNG(紅土)→ 7:3
・北の銀河 → 7:3
・ポポロ コンチェルト →7:3
・ヨシツカ → 7:3
・インフィニティ → 7:3
・颯(かぜ)→ 7:3
・ヒロミチ → 7:3
・サウザンリーブス → 7:3
・エルミガロ → 7:3
・ひぐらし → 7:3

◆バランス系
 ※安定比率の割合が6〜5であり、奏者の力量により安定と響きのバランスを両立出来る

・吟 → 6:4
・MORI → 6:4
・宮沢 → 6:4
・ペコリーノ → 6:4
・haru(風土)→ 6:4
・ソルジェンテ(旧:優タイプ)6:4
・水無月 → 5:5
・土音(蘭モデル)→ 5:5
・森の音 → 5:5
・庵(いおり)→ 5:5

◆響き+表現系
 ※響きを重視するため息遣いにはテクニックを要する(しかし、表現力は高い!)

・カンターレ → 4:6
・ピエタ → 4:6
・谷(廃番)→ 4:6
・和(なごみ:東京)→4:6
・無有(廃番)→ 4:6
・律(小川系)→ 4:6
・白鳥 (小川系)→ 4:6
・宗次郎(個人)→ 4:6
・ミカレジーナ(廃番)→ 3:7
・火山(旧)→ 3:7
・小川 → 3:7
・土心 → 3:7
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第一回目は以上です

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『オカリナフェア』の終焉 銀座 山野楽器にて [オカリナ雑感&How-to]

今日は山野楽器 銀座本店のオカリナフェアに足を運んだ。

コロナ禍でもあり制約の多い中、試奏させて頂いた。

あらかじめ電話予約した①ティアーモ 黒陶 大沢(合奏)②ティアーモ 黒陶(ソロ)③クレイトン(土音)蘭モデル ミディアム 漆 ④アケタ RC-5C 一松模様、いずれもAC管の4本だ。

①②のティアーモは良い意味で変わらない安定感で個体のクオリティは良かった。(何も言うこと無し)

③のクレイトン(土音)漆モデルだが、これは予想以上に素晴らしかった。全体的な進化もあると思うが漆の効果はやはり抜群だ。
音色のふくよかさを保ちながら、出音の輪郭がクッキリと出ている。響きも良く高バランスのモデルである。漆塗りの質感も良く、『吹いて、見る』楽しさもある。おすすめのAC管だ!

さて、問題なのは④のやはりアケタだ。試奏管は横浜 ヤマハの個体よりは音色の雑味が少なかったが高音部の強い掠れは酷いものだった。通常モデルより高額なのにも関わらず『このレベル』ではどうしようもない。あらためて『アケタは終わった』と感じた。
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オカリナフェア全体の感想ではあるが、今更ではないが『代わり映えしない〜縮小の一途』ということである。大型楽器店主体のオカリナフェアでは、どうしても『アケタ、ティアーモ』がメインとなる。工房系のオカリナは極めて少ない。

これでは現在のオカリナファンがわざわざ足を運ぶ意味性は薄いだろう。苦肉の策で著名奏者の講座、演奏会の抱き合わせでお茶を濁すのみである。

今後のオカリナ流通に関しては尾崎さんのテレマン楽器『オカリナハウス』のビジネスモデルがヒントであり、主流となるであろう。

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『山野楽器 銀座店 オカリナフェア』重大注意事項&問題点 [オカリナ雑感&How-to]

今日(3/4)から山野楽器 銀座店にてオカリナフェアが開催されますが『試奏』に於いて重大注意事項があります。以下にまとめました!

①完全予約制(ふらっと行って試奏できない)
②当日、試奏されたオカリナは消毒作業のため翌日となる(試奏したい管に先約があった場合は当日試奏は出来ない)
③予約時に試奏したい管を指定する必要がある(事前に絞り込める?)

コロナ対策とはいえ、これは如何なものか!?
こんな制約だったら『フェア』なんて銘打って開催するべきじゃないでしょう!
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『宮村氏』の唯一無二サウンド=『土心オカリナ』 [工房系オカリナ]

待ちに待った『土心 AC管』がオカリナ奏者の宮村氏から届いた
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宮村氏=<音色×響き>=土心オカリナ・・と言っても過言では無いだろう

実は土心のACはこれが3本目となる(保有したのは)
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最初期の個体、5年ほど前の個体、宮村氏からの最新だ

オカ友さんからお借りした個体も含めると6-7本は体験したことになるが、一言で言うと・・「個体差がとても大きく、当たり管に出会うのがとても難しい」オカリナだった

当たり管だと唯一無二!
哀愁たっぷりの超絶的音色と響きを発する

『宮村氏=土心オカリナ』のイメージが明確化するにつれて、土心オカリナの安定感も増していったように思える

土心オカリナの特性&素晴らしさを余す事なくパフォーマンスする宮村氏の演奏

製作者と演奏者の信頼関係と探究心が土心オカリナに反映されていったのだろう

現在『土心オカリナ』は宮村氏の手を経て、届けられるようになっている

供給が長らく止まっていた時期もあり、ファンにとっては喜ばしいことである

ところで・・
僕は宮村氏を『唯一無二』の奏者だと思っている

テクニカルを超越した「オカリナ本来の音色と響き」で人の心のを捉え、魂を癒してくれるのが宮村氏のサウンドだ

一音を聞けば、宮村氏の演奏だと直ぐに分かる

日本、いや世界に於いても貴重な存在である

さて、その宮村氏のサウンドの骨格である土心だが、AC管は特に扱いが難しい

最新の土心ACは僕にとっては良い意味で洗練されていたので・・自分の息コントロールで低音から高音までストレス無く響かせる事が出来た

宮村氏の演奏は情感に溢れている

それだけ土心は唄えるオカリナなのだが、息の微細な表情に敏感に反応していく(裏息マストだ!)

自分の息質一つで音色の表情を変化させる事が可能であり、ピッチベンドも自在だ

裏を返せば、力量の無い奏者が扱うと、とてつもなく不安定なサウンドになってしまうという事である

日本に現存するオカリナではこの『土心』が間違いなく「表現力No.1」であり、追随を許さないだろう
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難易度はかなり高いが、手名付ける事が出来れば最高の『魂を揺さぶる』オカリナとなるはずである

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ルミガン
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